夜遅くドイツから戻ってくるなり、主人は大きなハムの塊をうれしそうに鞄から取り出し「はい、お土産」と手渡してくれた。重いハムの塊の上に貼られたシールには、Schwarzwalder Schinkenと書かれているが、ドイツ語はダンケシェーンしか分からない私は、生ハムっぽいな、ということしか分からず冷蔵庫に入れておく。
翌日、冷蔵庫にズシリと入っていたハムを取り出しPCの前で抱えながら、ラベルに書かれたその読み方を検索してみる。
大きな塊にかかれた文字は“シュバルツバルター・シンケン”と読み、意味は“Black Forest Ham、黒い森のハム”。が、 “Black Forest”っていったいどこ?さらに調べてみると:
Black Forest(黒い森):ドイツ南部に位置し、西はフランス、南はスイス国境と接する縦長長方形の地帯。
Black Forest Ham(黒い森のハム):この地域で生産されたスモークハムのことで、作るのには3ヶ月かかる。塩、にんにく、コリアンダー、胡椒、ジュニパー・ベリー(杜松(ねず)の液果)などのスパイスで2週間漬け込んだ後、塩を取り除いてさらに2週間寝かせ、次に25℃で数週間スモークさせるとハムが段々と濃い赤に近づき味に深みが増して、出来上がる。
さっそく、旬のホワイトアスパラガスと一緒に食卓に並べた生ハムを、塩気があるので何も付けずにそのままバゲットに挟んで食べてみた。燻し出されたスパイスの香りが生ハムの味を豊かにしていて、これだけで充分なご馳走になったのだった。
